自分のサイトのドメインを、お名前.com から Cloudflare Registrar へ移した。作業は全部 Claude Code に伴走させている。移管先の比較も、対象ドメインの状態確認も、手順の提示も AI 側にやらせて、自分は管理画面を操作する係に回った。
やってみて分かったのは、AI を横に置いても停滞は消えないということだった。このタスクは 7 月に一度着手して、2 か月止まっていた。止まっていた原因は、AI が代われない 2 か所に全部あった。ブラウザの管理画面の操作と、bot からアクセスできない公式ヘルプである。以下はその記録になる。
タスクを 2 か月寝かせていた
普段、思いつきレベルのタスクは Obsidian の 1 ファイルに溜めていて、それを読み書きする自作のスラッシュコマンドを Claude Code に登録してある。一覧を出すコマンドを叩くと、未着手のタスクが並ぶ。
その一覧に「fuji-kinoe.net をお名前.com から Cloudflare Registrar へ移管」という行が 2 か月残っていた。今日たまたま一覧を出したら、Claude のほうから「これ、いま開いているプロジェクトのドメインですよね」と指摘された。言われるまで結び付いていなかった。
思いつきの箱とプロジェクトごとの作業キューを分けて運用しているので、こういう取りこぼしが起きる。分けている理由はあるのだが、ドメインのように明確にプロジェクトへ紐づくものは、最初から作業キュー側へ移しておくべきだった。
状態の確認は、AI に任せてちょうどよかった
7 月のメモには「移管可能」と書いてあった。ただ 2 か月経っているので、そのまま信じずに取り直してもらった。
Claude が叩いたのは RDAP という、WHOIS の後継にあたる仕組みである。レジストリがドメインの登録情報を JSON で返してくれる。.net なら Verisign が出している。
https://rdap.verisign.com/net/v1/domain/fuji-kinoe.net
結果は 7 月と同じだった。ステータスが active だけで移管ロックがかかっていないこと、ネームサーバーが既に Cloudflare を指していることが確認できた。後者のおかげで、レジストラを移してもサイトの応答元は変わらないので移管中も止まらない。
この工程は AI に向いている。URL を叩いて JSON を読み、必要な項目を抜き出すだけで、判断の余地が少ない。私が WHOIS の画面を開いて目で追うより早いし、ロックの有無をステータスの配列で機械的に判定してくれるので見落としにくい。
公式ヘルプが bot を弾いた
手順の 1 番目に「AuthCode 確認で認証鍵を取得」と書いてあった。AuthCode はドメイン移管に要る認証キーで、移管元から発行してもらう。そこで止まった。7 月に止まったのとまったく同じ場所である。
これがどうやるかわからん
そう投げたら、Claude が公式ヘルプを読みに行って失敗した。help.onamae.com のページが軒並み 403 を返す。ブラウザからは普通に開けるのに、bot からのアクセスは拒否される設定になっているらしい。
結局、検索結果のスニペットに出ていた「各ドメインの詳細画面から確認できる」という 1 行だけが確かな情報として残った。Claude はそこから先を「未確認」と明示したうえで、たどり方の候補と、見つからないときに疑う順序を出してきた。移管ロックが ON だと欄が出ないこと、Whois 情報公開代行が邪魔をすること、最後はサポートに発行を依頼すること、の 3 つである。
ここで「この画面のこのボタンです」と断定されなかったのは助かった。存在しないボタン名を探す時間ほど無駄なものはない。実際の場所は、一覧でドメイン名そのものをクリックして開く詳細画面だった。設定ボタンのほうを押していたから見つからなかったのだと思う。
言い換えると、2 か月の停滞はボタン 1 つの場所だった。そしてその 1 つは、AI が自力では埋められない情報だった。公式が bot を弾いている以上、AI に読める形の一次情報が存在しないからである。
操作は結局こちらの手で
Cloudflare 側の作業は素直だった。Domain Registration から Transfer Domains へ進むと移管できるドメインが一覧に出るので、選んで連絡先と支払いを入れ、AuthCode を貼る。移管には 1 年分の更新料がかかるが、その分だけ有効期限が延びるので消えるお金ではない。
このあいだ、Claude は手順を 1 ステップずつ出すだけで、実際のクリックは全部こちらがやっている。ブラウザを操作する権限を渡していないので当然なのだが、認証情報を扱う画面なので渡す気にもならない。AuthCode についても「チャットに貼らないでほしい」と先に言われた。会話の履歴がローカルの JSON に残るためで、そのまま Cloudflare の入力欄へ直接ペーストした。
送信すると進行状況が 4 段階で表示された。ロック解除、プライバシーの無効化、承認コードの入力までが緑になり、4 つ目の「ドメインが解放されるのを待ちます」で止まる。この画面をスクリーンショットで貼ったら、Claude 側が状態を読み取って次の説明に移った。文字で説明するより早い場面はあると思う。
同じ画面に赤い「移管をキャンセル」ボタンが並んでいるのが少し怖い。押すと AuthCode の取得からやり直しになるので、待ち時間が長くても触らないほうがいい。
待ちに入ったタスクの置き場
リクエストを送った時点で、自分の手は離れている。移管元での承認が残っているが、相手の処理が終わらないと閉じない。
この状態のタスクを未着手の一覧に置いたままにすると、開くたびに目に入るのに着手しても閉じない。なので保留用のセクションへ移してもらい、いつ何を送ったかを行末に書き足した。完了の判定も決めておいた。RDAP を叩き直してレジストラが Cloudflare, Inc. に変わっていれば終わりである。ダッシュボードの表示ではなくレジストリ側の記録で見る。
分担の輪郭
今回の分担を並べると、AI が引き受けたのは一次情報の取得と手順の組み立てと状態の記録で、こちらに残ったのはブラウザ操作と、AI が読めない情報を目で確認することだった。
停滞していた 2 か月はこの後者だけでできていた。伴走させると調査は速くなるが、詰まる場所は変わらない。むしろ調査が速い分、詰まりどころが管理画面と認証まわりに集中していくのだと思う。次に同じ種類の作業をやるときは、AI に手順を出させる前に、要る画面を先に自分で開いておくところから始めるつもりでいる。